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古典落語 桂枝雀 米朝事務所

桂 枝雀【青菜】

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桂 枝雀『プロフィール』

落語家 桂枝雀

2代目桂 枝雀(かつら しじゃく、本名:前田 達(まえだ とおる)、1939年(昭和14年)8月13日 - 1999年(平成11年)4月19日)は、兵庫県神戸市生まれの落語家。3代目桂米朝に弟子入りして基本を磨き、その後2代目桂枝雀を襲名して頭角を現す。古典落語を踏襲しながらも、超人的努力と空前絶後の天才的センスにより、客を大爆笑させる独特のスタイルを開拓する。出囃子は『昼まま』。実の弟はマジシャンの松旭斎たけし。長男は桂りょうば[1]。
師匠米朝と並び、上方落語界を代表する人気噺家となったが、1999年3月に自殺を図り、意識が回復することなく4月19日に心不全のため死去した。59歳没。他、同世代の噺家の中では『東の志ん朝、西の枝雀』とも称されている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/桂枝雀_(2代目)より引用



笑いの分類『情的な笑い』/サゲの分類『へん』

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古典落語 『書き起こし』と『オチの種類』

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しばらくのあいだ、お付き合いを願うのでございます。

人間といぅものは面白いもんでございまして、若いうちはそぉでもないんでございますが、わたくしも今年これで四十五(しじゅうごぉ)になりまして、おいおいと、まだ年寄りといぅところまではいかんのでございますが、まぁソコソコ年を取ってまいりました。

といぅと、自然に還ると申しますか、花を見たりなんぞして「おぉ、キレイなぁ」とか、青葉を見ては「ケッコウななぁ」とか、あんまり若いときに思いませんでしたのに、おいおいとね、近ごろそんなことが面白いなと思うよぉになりましたのは、ゆわば逆に言ぅと、ソコソコの年になってきたんやなぁ、て思たりもすんのでございます。

自然に還ると申しますかな、結構なもんでございますよ。桜、花見をすんのは大抵の人がなさるわけでございますが、ほかにもやっぱり梅見にお出かけになる人がある、また長谷寺のボタンでございますとか、どこそこのサツキとかね。

あぁいぅとこ、お出かけになる方たくさんにございますねぇ。やっぱりあぁいぅものが人間の目を楽しませてくれるわけでございますねぇ。我々の家の周りといぅことになりますといぅと、大きなお屋敷なんかになりますと、やっぱり植木でございますねぇ。

ひと口に申しますといぅと「もくせいもっこくかしかなめ」と言ぅそぉでございますが、金木犀の木、銀木星の木、木斛(もっこく)の木、樫、要の木。大抵は常緑樹と申しまして、常に青い緑の、そのなにを保っているものが多いんやそぉでございますねぇ。

あんまり、パッと咲いてパッと散るといぅよぉなもんは植木としては、あんまり良くないそぉでございます。常緑樹が多いんやそぉでございますが、あぁいぅもんもやっぱり人間の目を楽しませてくれるといぅか、ことに暑い時分はなんでございます、植木手入れに行き届きましたお庭でございますね。

打ち水やなんかビャ~としたぁるとこで、まぁ、縁先からそれを眺めているといぅてな風景、こらやっぱりとても我々の家では叶わんのでございますが、大きぃお家にはそぉいぅなにがあるのでございますねぇ。



■植木屋さん、植木屋さん。

●旦さんでございますかいな。

■仕事はもぉしもてやったんかいな?

●へ、間もなくでございまして…、なんぞご用でございますか?

■いやいや、用といぅわけやないんやけれども。仕事が終わったらちょっと来てもらいたいと思てますねや。

●かしこまってございます。すぐにまいりますのでござります。

●旦さん、えらいお待っとぉさんでございます。

■いやいや、べつに待っていたわけじゃありゃせんで、そない気ぃつかわんでな。まぁ、そこへでも腰掛けてもらおか…。毎日暑いなか大変じゃなぁ、ご苦労さん。

●何おっしゃいます。わいらこれが仕事、商売でございますよってね、これでお飯(まんま)が頂戴できるのんでございます。暑いなんて思たこと、こっから先もございませんので。

■結構なこっちゃ。ホンマのとこはそぉやけれども、人間といぅものはなかなかそぉは思えんもんじゃ。暑いの寒いの、暑いにつけ寒いにつけ小言・愚痴が出るもんじゃが、お前さん口に出さん。そぉいぅものに対する姿勢といぅもんが結構な仕事につながるのじゃなかろかな。

●まことに恐れ入ってございます。

■来てもろたんはほかでもない、よかったらこんなことの相手でもしてもらおと思いましてな。

●何でございます?わたしがここでお酒を頂戴するのでございますか?そら厚かましございます。

■なに厚かましぃことありゃせん。言ぅて何じゃがあぁ~たのためにしつらえたわけやない。わたしも少し早よぉに体が空きましたんでな、暑気払いにちょっとこんなことをと思いまして、よかったら相手してもらお思て。

●ありがたいこっておます。頂戴するのでございます。

■そら結構、いきましょか…。そぉじゃ、言ぅとかんならん。暑いあいだはな、お酒ちゅうやつは妙に体が火照(ほめ)いてどもならんでな、柳陰(やなぎかげ)といぅやつを井戸で冷やしていってますのじゃが、どや植木屋さん、あんた柳陰ちゅうのん呑んでかえ?

●旦さん、何とおっしゃったんで?柳陰。ヒョ、ヒョェ~、贅ぇ沢なもんお上がりになって。なんでございますよ、どこでも誰でもといぅわけにまいらんのでございますよ。柳陰てなもんはヒィ~ンヤリとえぇあんばいに冷えんことには具合悪ございます。ございますよってに、そんだけ深い大きぃ井戸がございませんことにはすっくりまいらんのでございます。

●当今はともかくも、昔は「大名酒」と申しまして、お大名より上がらなんだもんでございます。それをご当家で頂戴できるなんて、こんな結構なことはございませんのです。頂戴をするのでございます、へっ…。うわっ、こぼれたら勿体のぉございます。柳陰、色が違いますです。涼やかな色しております…、頂戴するのでございます。

●クゥ、クゥ、クゥ、クゥ…。な、何とも言えんえぇあんばいに冷えてございますもんですから、体じゅ~に出とりました汗がシュ~ッと一どきに消えて無くなりました。ありがたいことです。クゥ、クゥ…。旦さん、これ味醂が少し入ってございましょ。

●柳陰ちゅうもんはそぉちょいちょい頂くわけやございませんねんけど、うちのお婆んがいける口でしてね、天王寺さんへお参りした帰り、一心寺の前の甘酒茶屋で飲んでましたんでございます。わたいが子どもながらに「お婆ん、ちょっとねぶらしてぇな」言ぅて飲ましてもらいましてね。

●「味醂て、お酒や言ぃ条甘いもんやなぁ」ちゅうのん、未だに覚えとります。クゥ、クゥ…。たまらんのでございます。ハ、ハ、ハぁ~、結構でございます。クゥ、クゥ…。旦さん、酒といぅのは面白いものでございますねぇ。せんど頂きましてもえぇあんばいにならんことがあると思いますと、少ぉし頂きましても嬉しぃなぁといぅことがございます。ちょ~ど、今がそれでございます。

●ハハハハ、ハぁ~、ありがたいこってございます。旦那、ちょっとご覧になっとくれやす。向こぉの松の枝、向き変えましたところが趣が出ましたんで、石灯篭のとこは月が変わりましたら早速に取り掛かるんでございます。

●こんなこと言ぅたら何ですけど、旦さん、よそさんへまいりますといぅと、お忙しいんでしょ~けれども「植木屋、万事お前に任せた」おっしゃったきり、そのあとほったらかしにされてるといぅよぉな…、仕事いたしておりましても「気に入ってござるのか?」と思いますのんです。

●植木職人といたしまして頼んなございます。そこいくと旦さん、わたしが仕事してますとこ、後ろからちょくちょくご覧になってます。嬉しぃんです、植木屋としまして「ここの旦さん植木がお好きなんやなぁ、植木を可愛がってござんねんなぁ」思いますとね、なんとしてでも喜んでいただこ。なぁ~んてね。ハハハハ、ハぁ~、ありがたいこってございます。

■機嫌よぉ呑んでもらうのは結構なこっちゃ。植木屋さん、お箸も動かしてもらいたいでな。これも言ぅとかんならんのじゃが…、最前な、出入りの魚屋が「旦さんに是非食べてもらいたい」と言ぅて、鯉を持ってきましたのじゃ。洗いにしてあんねやが、川魚は好き嫌いがあるでな。でや、植木屋さん、鯉といぅものを食べてかい?

●旦さん、今、何とおっしゃいましたんで? 鯉。贅ぇ沢なもんお上がりになってますなぁ。なかなか誰でもどこでもいぅわけにまいりませんですよ。そぉでございましょ、当今はともかくといたまして、昔は「大名魚」と申しまして、お大名より上がらなんだもんでございます。

●それをご当家で頂戴できるやなんて、こんな結構なことございませんのんです。へ、頂戴するのでござます…。これでござますか?こら具合悪るございます、弱っとります、氷枕して寝込んどりますねぇ。(思いこみオチ

■よぉそんな、アホなことおっしゃる。洗いにしてあるんじゃがな。キュッと身が締まるよぉに氷が敷(ひ)ぃてあるんじゃがな。

●ハハハハ、ハぁ~、何も知らんもんでございますから。知らんといぅことはある種強ぉ~いもんでございます。ハハハハ、ハぁ~。頂戴をいたますのでございます…。シコシコッとして美味しぃもんでございますねぇ。

■「美味しぃもんでございますねぇ」はえぇが、お前さん何もつけんと食べてやが…

●え、何かつけます?

■だいたいそぉいぅもんはな、酢味噌で食べる人が多いけれどもな、わたしゃお醤油(しょゆ~)とワサビじゃ。お醤油が出てあるで、つけなされ。

●でっしゃろ、やっぱり。わたしも「美味しぃことは美味しぃけど、何や塩気があったほぉが、より美味しぃのではなかろぉかいなぁ」とか思とりましたんです。

■ワサビも出たぁるで、いきなされ。

●ん、ワサビ? とおっしゃると?

■そこに盛ってある。

これですか?これ?ワサビ?あさよか、何でこんなとこにモグサが置いたぁるんかなぁ思てましたんです。(思いこみオチ

■それがワサビじゃがな。

●ほぉ~、妙な格好(かっこ)してまんなぁ。

■そら、擦り下ろしてあるんじゃがな。お前さんワサビ知らんかえ?八百屋さんに売ってるやろが。これぐらいの大きさで先がパラッと開いたよぉな…

あれがワサビですか?あれを下ろし金で下ろしてこぉなる。ちょいちょい見てましたんです。八百屋の店にこんな小さなソテツ、どないするんやろなぁ思てましたんです。ワサビ…、なぁ~るほど。(思いこみオチ

■植木屋さんだけに見立てが面白いやないか、ソテツとはどぉじゃ。いけますでな、ちょっとやってみなはれ。

●何ぁ~にも知らんもんですから…、頂戴をいたします…、グッ!

■辛いんじゃろ、吐き出しなはれ。

●…!

■お酒を呑みなはれ。

●…!うわぁ~ッ、わたいワサビ、口に合わん。



■無茶したらどもならんで…、こらわたしが悪かった。どぉじゃな口直しに青いもんでも、植木屋さん、あんた青菜を食べてか?

●旦さん、今、何とおっしゃいました?青菜。ヒョ、ヒョェ~、贅ぇ沢なもんお上がりになって。当今はともかくとして、昔は「大名菜」ちゅうて大名より…

■嘘つきなはれ…。奥や、奥や。

★はい、旦さん何かご用で。

■今、植木屋さんがお酒の相手をしてくれてます。面白い愉快な人じゃ、久しぶりにお腹の底から笑わしてもらいました。青菜
が食べたいと言ぅで、堅とぉ絞ってゴマでも振りかけて持ってきたげとぉくれ。

★かしこまりましてございます。

●旦さん、何でございます?今のが奥さんでございますか…? お綺麗ぇなお人でございますなぁ、またお上品な。ビタ~ッと両手つかえてものおっしゃいます。

■当たり前じゃないかいな、うちの奥じゃないかい。

●それがなかなかそぉはいきまへん、うちの嬶(かか)かてうちでは奥ですけどなかなか、一緒になって二十年になりますけど、両手つかえてるのんただの一度として見たことおまへん。

●いっつも、わたしの前へズボッと立ったなり「あんた何…?」まぁ、奥さんとうちの嬶と並べて見ることからして間違ごぉてますわいな、お育ちが違います。小さい時分から火付けが上手いところへさして懲役が行き届いてます。(言葉遊び

■なに言ぃなさった…、無茶言ぅたらどんなりませんがな「火付けが上手いところへさして懲役が行き届いてる」それも言ぅなら「躾が上手いところへ教育が行き届いてる」

●その、教育。うちの嬶なんか、京行くどこころか、東淀川あたりウロウロ・ウロウロ。

●ここだけの話ですけど、不細工なことです。こないだもお尻に大きなデンボ(出来物)こしらえよりまして、わたいが仕事から帰って来ましたら「まぁ、あんたえぇとこ帰ってきとくなはった。デンボの膏薬張替えとぉ」大きなお尻デ~ンと突き出しよりますねん。

●わたし言ぃましたんです「なんぼ亭主とはいえ、男の目の前にお尻ほり出してから。口に出さいでも腹の中ではすまんなぁ、ありがたいなぁ思ても罰あたらんぞ」したら、どぉですうちの嬶「へぇ?フン、なんかしてけつかんねん、ケツくらえ」

●「ケツくらえ」ぐらいの言葉、今まで聞ぃてますけど、今現在、目の前に大きなケツくろてますやないか。思わずムカッとしてペシ~ッ!といったらブゥ~ッ!ケツも屁ぇも食らいましたんですわ

■…

★あのぉ~、旦さん。鞍馬から牛若丸が出でまして、名も九郎判官…

■何じゃ…?ほぉ、義経、義経。

■さぁ、どんどんやってくだされや植木屋さん。

●旦さん、わたしボチボチ失礼(ひつれぇ)を。

■何じゃ? かまやせんじゃないかな、ゆっくりしていったら。

●どぉぞ、お気遣いの無いよぉに。どなたかお客さんがお見えになったよぉで?

■誰も来やせんで。

●先ほど奥さんおっしゃた「鞍馬山のほぉから金太さんが飛んで出た」ちゅうて。

■えらいことが耳に入ったなぁ。いやいや、そぉじゃありゃせん、実はあんたに食べてもらおと思た青菜、わたしがみな食べてしもて無いんやそぉな。それをここへ来て言ぅたら、あんたの手前わたしが照れるといぅので隠し言葉のよぉなものじゃ。

●旦さん、隠し言葉と言ぃますと?

■「鞍馬から牛若丸が出でまして、名も九郎判官」菜は食ろぉてしもてもぉ無い。と、こぉ言ぅたので、わたしが九郎判官に掛けて「義経、義経」よしや、よしや。とこぉ言ぅたわけや。

●ヒョ、ヒョェ~、えらいもんでございますなぁ、おっしゃることが。

●何ですて「鞍馬から牛若丸が出でまして、名も九郎判官」で、旦さん「義経、義経」と。これでっしゃないか、えぇこと聞かしてもらいました。いえいえ、きょうはお腹いっぱい頂戴しました。あしたの朝ちょっと早い目に出まして、この埋め合わせをさしてもらいます。さいなら、ごめんやす。

●上品な奥さんやないか。そこへさして「鞍馬から牛若丸が出でまして、名も九郎判官」旦さん「義経、義経……」あんなこと言ぅてたら、暑いも寒いも無いわなぁ。ありがたいこっちゃないか、向こぉの奥さん綺麗ぇなお人、上品なお人。あれが奥やねぇ、ホンマの奥やねぇ。

●うちの奥はブセェ~クな奥や、どんならんで。だいたいうちは路地が暑いわい路地が、暑い風が、わ、わ、わぁ~~ッ……、えらいとこやなぁ。西日がきついねん…、ゴミ箱のふたが開いたぁるがな…、わ、わっ、蝿柱が立ったぁ~るがな、どんならんで。地獄やねぇ。



●今、戻った。

▲今時分まで、どこのたくり歩いてけつかんねん。このアンケラソォ。

●わぁ~、えらい奥やねぇ……、大きな声出すな、きょうは旦さんとこで柳陰を鯉の洗いでよばれてたんやぞ、その時にわいが青菜が食いたい言ぅたらちょ~ど無かったんや。お前ならその時どぉいぅ応対をする?

▲何がいな?

●青菜を食べたいちゅうたら、無かってん。その時お前ならどぉいぅ応対をするちゅうねん。

▲どぉいぅ応対も、こぉいぅ応対も…「わずかばかりの青菜、いつまであると思てるねんこのハゲネズミ」

●ドサクサ紛れにハゲネズミはやめといてくれ。

●お前らそんなことしかよぉ言わんやろ。向こぉの奥さん違うぞ、旦さんの前へビタッと両手つかえになって「鞍馬から牛若丸が出でまして、名も九郎判官」旦さん「義経、義経……」どぉじゃ。

▲何やのんそれ? それ紙に書いて貼っといたら、アブラムシが出ぇへんのんか?

●違うがな、こら青菜が無いといぅ言訳じゃ「鞍馬から牛若丸が出でまして、名も九郎判官」菜は食ろぉてしもてもぉ無い。そこで旦さんが「義経、義経」よっしゃ、よっしゃ。どや、お前らこんなこと言えるんか。

▲何やのん大層そぉに、そんなことわてら口で言わいでもオイドで言ぅたるワ

●おぉ…、お前わ何でもオイドか。言えるか、言えるねんな、よぉし。もぉじき竹が風呂誘いに来よるから、ポンポ~ンとかましてご大家の真似事せぇ。

●実はうちは元お公家さんだ…、オモロなってきたなぁ。柳陰てな気の利ぃたもん無いのん分かったぁるわい。酒持って来い、段取りさえつきゃえぇんじゃ。鯉の洗いてなもんも無いのん分かったぁるわい、鰯の煮(た)いたんでも何でもかめへん…、鰯も無い?オカラの煮いたんがおます?何でもかめへんこっち持って来い。

●これとこれを勧めて「奥やぁ」奥、奥…、奥

▲何やねん?

●ブッサイクな奥やなぁ…、奥がそんなとこにズボッと立ってたら、奥やあれへんがな。奥は奥から出て来い。

▲なに?

奥は奥、奥は奥から出て来いちゅうねん。(自虐オチフリ

奥も店の間も、この四畳半ひと間やないか。(自虐オチ

●ブッサァ~クな…、どっか隠れ、押入れに入れ、押入れに。

▲アホらしもない、それでのぉても暑いのに。

●暑ぅてもシュッと出てこないかんやないか、押入れに入れ、奥の間ぁじゃ「奥や」言ぅたら出てくるねんぞ、さっきのん忘れるな…。竹、誘いに来よった。

★おい風呂行こか。

あぁ、植木屋さん。(なりきりオチ

★…?きょうらだいぶに暑いのんは暑いけど、頭ボヤ~ッとしてんのんちゃうか。何言ぅた?植木屋はお前やないか、俺は大工や。

●あぁ~た、柳陰を呑んでか?

★おいおい、結構やないか。からだ火照ったぁんねんがな、こんな時に冷たいのんキュ~ッとよばれたら、こんな結構なことないわい。

★どこで手回したんか知らんけど、おっきありがとぉ。キュ~ッと冷たいのん、ありがたいなぁ……、な、何やねんこれわ、生ぬるぅ~いやないか、ただの酒とちゃうんか?

●分っかりますか?

★分からいでか。

あぁ、植木屋さん。(なりきりオチ

★植木屋はお前やっちゅうねん。

●あんた、鯉の洗いは食べてか?

★鯉?言ぅといたるけどな、お前とこは子どもが無いさかいそんな贅ぇ沢ができるねん。うちみたいに六つ頭に四人も子どもがおってみぃ、鯉どころか鰯が危ないで。いつやったか旦さんとこの建前のあとよばれたやないか、鯉こくちゅうやつ。結構やったやないか、洗いにしたぁるのん?

★ほほぉ~ッ…、わいも詳しぃこと知らんけど、鯉も洗いにするとシャモジですくうか…?ふぅ~ん、詳しぃこと分からんが、鯉とは思えんなぁ。鯉の子ぉの洗いかなぁ…、これオカラの煮いたんと違うか?

●分っかりますか?

★分からいでか。

あぁ、植木屋さん。(なりきりオチ)(かぶせ

★しまいにどつくで、植木屋はお前やっちゅうてんねん。

●あぁ~た、青菜は食べてか?

★要らん。

あぁ~た、青菜を食べてか?なりきりオチフリ

★要らんちゅうねん。どぉいぅもんか青もん嫌いやねんムカムカッとくるねん。オカラでえぇ。これ食て酒呑んでシュッと風呂行こ。

あぁ~た、青菜嫌いか?なりきりオチフリ

★ムカムカするちゅうてんねん。

あぁ~た、青菜嫌いでも好きと言ぅて。(なりきりオチ

★何やねん…、分かった。何ぞのまじないかいな。食ぅ真似したらえぇんかいな。よっしゃ、もらお。

あぁ~た、青菜は食べてか?好きか?なりきりオチ

★嫌いやちゅうねん。

●ちょっと待ってや(ポンポン)奥や、奥や(ポンポン)奥や、奥や。

▲はい旦さん。

★び、ビックリしたぁ~。恐わぁ~。お咲さん留守かと思たら、今まで押入れ入ってたんか?汗流れ出たぁるがな…、何か言ぅてるで。

▲旦さん何かご用で?

●今、植木屋さんがお酒の相手をしてくれている。青菜が食べたいとおっしゃるで、堅とぉ絞って持ってきたげとぉくれ。

▲かしこまりましたー…

★また押入れ入って行ったで。この暑いのに何をすねんな…、また出てきたがな、汗流してクモの巣だらけやないか。また、何か言ぅてるで。

▲あの、旦さん。鞍馬から牛若丸が出でまして名も九郎判官、義経

●…?

…、弁慶。(サゲ

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